インプラントの歴史

インプラントの歴史

ブローネマルクとインプラント第一号患者の写真

写真左は世界で初めてインプラントを埋入した第一号患者ヨスタ・ラーソン氏(写真左)とブローネマルク教授(写真右)

インプラントの治療の起源は古代にさかのぼりますが、歯が抜けたところにエメラルドが植えられていたり、象牙、牛の骨、貝殻などが植えられていた人骨が見つかっています。
ただし、そのような歯が安全に機能したとは考えにくく、死後に儀式のために装飾したのかもしれません。

現在とはやり方や材質などの違いはありますが、昔から失われた歯を戻すことに憧れていたと言えるでしょう。

インプラントについて調べている方でしたら何度もブローネマルクという名前をみているかもしれません。
インプラントの歴史には欠かせない人物がスウェーデン人のブローネマルク教授です。

事の始まりは1952年にウサギの骨の毛細血管の実験をしていた時に、骨に埋めたチタン製の生体顕微鏡が骨と結合していることを発見しました。これをオッセオインテグレーションと名付けました。

オッセオとは骨のことです。インテグレーションとは結合のことです。

当時は骨と金属が付くという考えがなかったために、それを示す言葉もありませんでしたので、ブローネマルクが作った言葉です。
彼はこの発見を人類の幸福のために役立てるべきだと考え、顎の骨に固定式の歯を入れることを思いつきました。
その後、数十年にわたって研究を重ねて開発したのがブローネマルクインプラントシステムです。

そしてブローネマルクは、数十年にわたる研究結果をデータを含めて全て公開しました。
そして特許を取得しませんでした。
これにより、インプラントの研究が世界中で始まり、世界に普及していったのです。
そのことでブローネマルク教授はチタン製インプラントの実績から、スウェーデンの政府からグランドプライズ賞を授与されました。

それでも当時の歯科医師たちの中には批判的な人もいたようですが、研究や実験を重ねた結果、インプラント治療を認めざるを得なかったようです。

そして1965年に世界初のインプラントの手術を受けたスウェーデンの30代のヨスタ・ラーソン氏はそのインプラントで問題なく生活していたそうですが、その後亡くなるまでの40年以上、インプラントは維持し続けたのです。

このことからも失った歯の治療法としてインプラントには高い評価が与えられていることがおわかりいただけるでしょう。

ブローネマルクは特許を取得せずに年金で暮らしているそうです。それはオッセオインテグレーションの発見は、自分のものではなく人類の宝だからです。

インプラントであなたが幸せになることを彼は望んでいると、私は信じて頑張っています。

院長  相浦 淳一